「車で通勤するなら、できるだけ近い道を通りたい」
「いつも自転車で通っている道だから、車でも大丈夫だと思う」
「久しぶりに運転するので、できれば知っている道を使いたい」
これから車通勤を始める方の中には、普段使い慣れている道や、目的地までの距離が短い道を通勤経路に選ぶ方もいらっしゃると思います。
しかし、自転車で通り慣れている道が、自動車でも運転しやすい道とは限りません。
特に、住宅街の裏道や抜け道を通る場合には、道路の幅や見通し、歩行者・自転車の通行状況などを考える必要があります。
今回は、過去の怖い経験から運転をやめていた20代女性が、車通勤を始めるために講習を受講された事例をご紹介します。
実際に通勤経路を走ってみたところ、運転操作とは別の問題が見つかりました。
それが、通勤に使おうとしていた道路の選び方でした。

過去の怖い経験から運転をやめていた
今回のお客様は、運転免許を取得してから約4年が経過している20代の女性です。
免許取得後はしばらく運転していたものの、ある出来事をきっかけに運転しなくなったそうです。
講習中にそのときのお話も伺いました。
詳しい内容は控えますが、ご本人にとっては、その後の運転をためらうほど怖い経験だったようです。
今回、再び運転しようと思われた理由は二つありました。
一つは、通勤で車を使いたいということ。
もう一つは、休日にご友人と出かける際、いつも運転を任せてしまうことが気になっていたからだそうです。
これ以上運転から離れる期間が長くならないうちに、もう一度挑戦しようと考えられました。
今回の講習では、ご自身の軽自動車を使用しました。
運転操作には大きな問題がなかった
最初に、現在の運転状態を確認しました。
今回のお客様は、免許取得後に運転していた経験があり、運転から離れていた期間もそれほど長くはありませんでした。
実際に運転していただくと、基本的な車の操作には大きな問題が見られませんでした。
そこで、今回の目的である車通勤に向けて、自宅から勤務先までの道路を走っていただくことにしました。
しかし、実際に走行してみると、気になる点が見つかりました。
それは、運転操作ではなく、通勤経路そのものでした。
選んでいた通勤経路は、裏道や抜け道ばかり
お客様が通勤で利用しようと考えていた経路は、いわゆる裏道や抜け道と呼ばれるような道路が中心でした。
道路の状況を確認すると、運転するうえで注意が必要な場所がいくつもありました。
さらに、実際に通勤する時間帯は、通勤・通学によって交通量が増える時間帯です。
車だけでなく、歩行者や自転車の通行にも注意しなければなりません。

そして、もう一つ気になることがありました。
以前、お客様が運転をやめるきっかけとなった怖い経験をされた場所も、この通勤経路に含まれていたのです。
もちろん、過去に怖い経験をした場所を必ず避けなければならないわけではありません。
しかし、今回のように運転再開に不安がある方が、交通状況の複雑な裏道を毎日の通勤経路に選ぶことが適切なのか、一度考える必要があると感じました。
なぜその道を選んだのか?
一度、勤務先まで運転していただいた後、お客様に経路を選んだ理由を伺いました。
すると、二つの理由がありました。
一つは、普段から自転車で通勤している道だったこと。
もう一つは、その道が最も近い経路だったことです。
そこで、私は次のようにお尋ねしました。
「自転車で通勤していて、怖いと思ったことはありますか?」
すると、お客様からは、
「よく怖い思いをします」
という答えが返ってきました。
普段から自転車で通行していても、危険を感じることがある道路だったのです。
自転車で慣れている道だからといって、自動車でも安心して通れるとは限らないことが分かる事例でした。
自転車と自動車では、通りやすい道が違う
自転車であれば比較的通行しやすい道路でも、自動車では運転しにくい場合があります。
例えば、道路幅が狭い場所では、対向車とのすれ違いに注意が必要です。
見通しの悪い交差点では、交差する道路から来る車や自転車、歩行者などを十分に確認する必要があります。
また、生活道路では、建物や駐車車両などによって周囲が見えにくくなることもあります。
さらに、通勤・通学時間帯には、普段より交通量が増える道路もあります。
こうした環境では、速度を落として慎重に運転することはもちろん、周囲の状況を予測することも重要です。
距離が短いという理由だけで経路を選ぶと、結果として運転中の負担が大きくなる場合があります。
通勤経路は、距離だけでなく運転のしやすさも考える
今回のお客様には、実際に走行した道路の特徴や、通勤時間帯に考えられる注意点などをご説明しました。
そのうえで、別の経路をご案内し、実際に走行していただきました。
ただし、今回ご案内した経路は、講習中にカーナビなどを参考にして設定したものです。
そのため、お客様には、さらに適した経路がある可能性についてもお伝えしました。
ここで大切なのは、一度選んだ通勤経路にこだわる必要はないということです。
例えば、少し遠回りになったとしても、道路幅に余裕があり、見通しのよい道路を利用できるのであれば、その方が運転しやすい場合があります。
反対に、幹線道路であっても交通量が多く、複雑な車線変更が必要になる場合には、別の経路を検討した方がよいこともあります。
どの経路が適しているかは、実際の道路環境や交通状況、運転する方の経験によって異なります。
通勤時間帯の交通状況も確認しておきたい
車通勤を始める場合、休日や昼間に一度走っただけでは、実際の通勤時間帯の状況を十分に把握できないことがあります。
同じ道路でも、朝夕の通勤・通学時間帯には交通量が増えたり、歩行者や自転車の動きが変わったりすることがあります。
特に裏道や抜け道では、交通量が増える時間帯にすれ違いや交差点での判断が難しくなる場合もあります。
そのため、通勤経路を考えるときには、距離や所要時間だけでなく、実際に走る時間帯の交通状況も確認しておきたいところです。
運転に不安がある場合には、まず交通量の比較的少ない時間帯に経路を確認し、運転状態に応じて実際の通勤時間帯での走行を検討する方法もあります。
経路を見直した後は、駐車と車線変更も練習
別の通勤経路を走行した後は、駐車と車線変更の練習も行いました。
今回のお客様は、基本的な運転操作には大きな問題がありませんでした。
そのため、3時限の講習では、通勤経路の確認と見直しに加え、実際の運転で必要になる操作も練習できました。
講習終了時には、今回の運転状態を踏まえ、今後の運転についてお話ししました。
今回の事例では、運転再開に向けて確認するべきことが、単に車の操作だけではなかった点が印象的でした。
運転に不安がある人ほど、経路選びも大切
久しぶりに運転する場合、アクセルやブレーキ、ハンドル操作などに意識が向きやすいものです。
もちろん、基本操作ができることは重要です。
しかし、実際に車を使うようになると、どの道路を選ぶかによって、運転中に必要になる判断も変わります。
特に通勤では、同じ経路を繰り返し利用することが多くなります。
そのため、運転を始める前に、道路幅や交差点の見通し、交通量、車線変更の必要性などを確認しておくことには意味があります。
運転しやすい経路を選ぶことも、安全に車を利用するための準備の一つです。
まとめ|車通勤は「近い道」より「自分が安全に運転できる道」
今回のお客様は、過去の怖い経験から運転をやめていましたが、通勤や休日のお出かけで車を使いたいと考え、再び運転に挑戦されました。
基本的な運転操作には大きな問題がなかったものの、実際に通勤経路を走ってみると、裏道や抜け道が多いことが分かりました。
その経路は、普段から自転車で利用している最短ルートでした。
しかし、自転車で通っているときにも怖い思いをすることがある道路だったのです。
そこで、道路環境についてご説明したうえで別の経路を走行し、さらに駐車や車線変更も練習しました。
今回の事例からも分かるように、車通勤を始めるときには、運転操作だけでなく、通勤経路の選び方も重要です。
最短距離の道路が、必ずしも自分にとって運転しやすい道路とは限りません。
これから車通勤を始める方は、距離や所要時間だけでなく、道路環境や交通状況も含めて経路を考えてみてはいかがでしょうか。
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